彼女の名は、美鈴。

 かれこれ十年以上の親友である。

 出会いはあるダイヤモンドの卸の会社で、彼女は正社員で私はアルバイトであった。指示を出す者と出される者であった。彼女の方が年上であるが、若い人と馴染むのを好んでおり、私が年上風に扱うと嫌がっていた。自然、タメぐちになる。

 私が彼女と気安くつきあう理由を考える。他の誰と、どんな風に違うのだろう。

 まず一緒にいて楽しい。楽しい人を紹介してくれるし、楽しい場所に連れて行ってくれる。よく笑う。よく食べる。

 彼女が私を気にいってる理由を考える。多分、サバサバしているところではないか?自分のことなのでわからないが…。

 彼女は「女の子っぽい」ことに(…よくわからないが)憧れており、私の友達と会った後など鼻息荒くなんだか満足している。ガールズトークができた、ということだと思う。私たち二人だとかなりオッサンな店に入り、かなりオッサンらしくくだを巻くが、実はガールズトークをしたいらしい。不思議である。むちゃくちゃ猫かぶれてないくせに、遮二無二かぶろうとする姿勢。全然かぶれてないのに。

 二の腕がものすごく柔らかくて気持ちいい。まるでオッパイ。これはこれで良いと思うのだが、本人はナイモノネダリで華奢なのが良いみたい。私は骨が細いのでそういうところも気にいられているのだろう。

 

 私からすればかなり不思議な人で、交友関係は広いし、積極的だし要領が良いし、かわいいし、気安くつきあえるので大好きである 。

 二人とも無職の時期にタイミングがあったね!と海外旅行にでかけた。行く先はマレーシアのタマンネガラ国立公園。アジアの熱帯雨林地帯で、野生のクマ、トラ、ゾウなどを真近でみるための動物観察小屋がある。一応リゾート。申し込みをしたら小屋に泊まれる。ゾウやトラが出ても困るけど…きっと出ない。そんなジャングルにも二人で行った。汗だくになって。

 ちょっと変でしょ?


 たまに悩んでる。

 結構深刻な悩みだけど、とりあえず笑ってしまう。笑ってしまってゴメンと言うが、笑ってもらってまぁいいよと言われる。笑うしかない、と言うわけでもない。多分、笑うことを無意識に自発的に選択しているんだと思う。バッサリとした結論を待っている。

 基本的に相談ではない。報告である。自分がいかにダメな人間であるか、告白しあっている関係である。そして許しあっている。

 隠し事もまだまだあるかもしれない。

 私たちは気がむいた時に近況報告し、お互いに対して提案しあっている。