「コシュ・バ・コシュ」をみた。

タジキスタン映画。バフティヤル・フドイナザーロフ監督作品。


 かつてはソ連邦で今は独立国。93年撮影、94年公開なので約20年前の作品である。内戦は終わらず、町は荒れている。死体が川を流れている。銃撃戦の音がずっと聞こえてくる。男たちは賭け事に夢中で、女たちは洗濯をしている。難民もいる。夜は外に出られない。

 これはドキュメント映画ではなく、ラブストーリーであった。

 タイトルの意味は「勝ち負けなし」


 町と畑の上を、ロープウェイが行ったり来たりしている。

 時刻表があるわけではない。ブザーは鳴らすけれど、単なる決まりごとのようで切符のやりとりもしていない。干し草をいっぱい積みこんで、通りに落としたりしている。もちろんロープウェイの扉は開けっ放しで、窓枠で体を支えた男たちが外側からフォークで干し草を刺して落とすのである。男たちはロープウェイに外側からしがみついているのだ。なんと言うか…、軽トラック感覚でロープウェイを使っている。


 1人になりたい時もロープウェイに乗る。

 友人と真面目な相談もロープウェイに乗る。

 恋人とイチャイチャするのもロープウェイに乗る。


 途中、展開についていけない所もあったけど、大体において見やすかった。恋人たちが可愛らしかった。みずみずしい印象である。


 背景として内戦は常にあるけど、政治が全く絡まないのが良いのだと思う。誰も主張したりしない。恋人たちは夜に飛騨の灯りをみて「戦争は怖いけどきれいだね」とさえ言う。遠くからみれば飛騨の灯りも花火のようだ。情景として。

 

 詩的な映画でした。