山口大学の時間学研究所のシンポジウムに行ってみた。

 今日、6月10日は時の記念日です。


 8日土曜日に山口大学において「夜の文化史」と題し、自由報告会が行われた。無料で予約ナシで参加できる(懇親会は有料)

 何やら怪しいですよね?

 時間学研究所と聞くと私なんかはSFモードになってビックバンとか予知とかタイムスリップの研究してるのかと思ってしまいました^_^ちがうちがう!

 物理もあるけど、体内時計の関連で医学・生物学があり、生活時間の関連で社会学・宗教学・文学・都市工学があり、地域差や起源の関連で民族学などもあり、思い切り多岐に渡る研究のようである。文系理系と分けずに総合的な研究を目指している、新しいジャンルの学問である。


 土曜日の演者は2人。1人は都市照明について。道路照明と防犯灯の違いなど。過去の街灯の歴史、ヨーロッパの街灯の歴史などを発表した。

 もう1人は平安時代(都の)光環境について。源氏物語紫式部日記など古典の記述から、睡眠習慣と光環境について推測する。明暗サイクルが体調を整える因子のひとつとし、現代の人口的な夜の光がヒトに及ぼす影響なども発表した。

 発表の後、コーディネーターと聴衆から演者は質問を受けた。これがまた多岐に渡った。統計の出処であったり、古典について掘り下げたり、哲学的なものであったり。また、光イコールエネルギー、エネルギー問題についてそれぞれに見解を求めるなど。とにかく範囲が広いのだ。


 学問は探求するものだ。同時に、言葉や数値で表しきれないものではない。言葉や数値でわかりやすく一般化するものだ。その意味で時間学は細分化された各分野の学問を再構築するようなもので、量はかなり膨大、方向性は流れるまま、説得力がモノを言う!ような柔らかい状態だ。この点が非常に面白い。こんなにディスカッションが面白い学問があるだろうか?権威がいないというのは不安なことかもしれないけど、専門家が多く集まったって本当の意味で専門的な話はできないのである。工学専門家は源氏物語の専門家に話をするし、社会学の専門家はグラフの出典に興味を持つのである。何の話をしていたのか、見失いそう。

 寄り道をたくさんしながら目的の結論まで長らく語るのだろう。

最終的に「時間」を絡めれば、何を研究し何を結論しても許されるのだと思う。

 

多分、助成金の問題もあるし、無意味な学問ではおられないので、エコロジー分野でまとめるのかな?

 

学問はこうあるべきだと思うし、こうであってはいけないような気もする…、なんだか趣味的な学問である。