旅の途中

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 文体と内容について考える。

 何を語るかよりも、どのように語るかが重要で評価される。文体は想像力をかきたてる装置でなければいけない。行間や余白を埋めるのは読者の責任。そのために、文体は詩であることが望ましい。


 ただ、技術の向上は望めてもテーマの変更はきかない。リズムとメロディのように分かち難い事ではあるが。リズムあってのメロディ、メロディあってのリズム。


 すんなりと結論なり教訓が得られるような作品はよろしくない。

 周辺をぐるぐるとまわって核心に手探りで近づく…、ような心の冒険をしたい。

 ある日突然に雷に撃たれるようにわかったり、したい。

 何か輝かしいこと、あるいは影の隙間に潜むもの、何かの思い出に関係すること、わかりそうでわからないこと。その程度の結論であってほしい。


 闇雲に不条理なのもよろしくない。


 旅から帰って想うこと。例えばそういうことに似ている。


 旅の途中は楽しい方がいい。この旅が終わらなければいいと願う旅もある。帰りたくない、ということではなくて。


  言い換える。物語の結論を求めているのではなく、物語の途中を楽しみたいということ。

 退屈な旅が終わると、ほっとする。楽しい旅は終わらないでほしいと願う。


…私は他人に本を勧める時に考える、自分が楽しめた旅をこの人は楽しめるだろうか?と。リゾート満喫コースの人は、大自然体験コースを楽しめないから。

 だから私は、無闇に人に本を勧めません^_^