太陽の匂いがする猫。

  猫の輪郭。


 淡い陽射しのうつしだす、猫の輪郭。

 その総身の輪郭を、金環日蝕のようにきらきらと輝かせる。細く柔らかい毛が輝く。太陽の匂いがする。


しなやかに、ツ、とポーズを決めて、去る。


 一瞬に通じたと思わせて、行ってしまう。


 あー……、


 自分がいちばん美しいって知ってるんだなぁ…。

 「猫のくせに」とは、思わない。思わないけど、ちょっと傷つく。

 触りたい。触ってみたい。触らせてくれ。


 …猫は、生まれる前に人だったんだと話す人がいた。

 「どんな人が猫に生まれ変わるんです?」と問う。ニンマリ笑って答える「たくさん可愛いがられた人間が、猫に生まれ変わることができる」皆が皆、猫に生まれ変われる訳ではない。

 なるほど。


 せいぜい可愛いがられよう。可愛い人生を過ごして、いつか、猫に生まれ変わろう。