映画の話をしよう。


  そもそもブログの文章を読んで「明日観る映画を決める」という映画ファンって、いないと思う。

  

  本当の映画ファンは個人のブログではなく、制作者(監督、俳優、演出、脚本)で決める。

  評論家の話は参考にするかもしれないけど、話題になってるような作品なら、まずは自分で観る。制作裏話から何やら、いろいろ調べて知識を集めるための一助として個人のブログというのはあるかもしれないけど、あくまで一助。決断の全てではない。

  よっぽど信頼している人のブログであったとしても、その人が熱く勧めるからその映画を観た、ということはないのではないかなぁ。


  昔の作品なら。本を勧めるような感じで(あれ良かったよ)(そっか暇な時に読むから貸して)みたいなノリで情報交換は、すると思うけど。


  リアルタイムで最新情報をお届けするぜ!と気張って、誰かが映画紹介の記事を書いたとしても。読者は(他の人はどんな感想を持ったのだろう)と検索してやってきた映画鑑賞後の人たちだ。そこのとこ、ギャップがあります。


  だから何が言いたいのかと言えば、映画批評(映画紹介)の記事というのは、傲慢な愛情、それに尽きるべき。

  「よし、紹介しよう」と個人が思うことさえ、奢りのような気がしてきた。


  ブログにおける映画批評の在り方として。個人が具体的に良かったと思う点を列挙すればいい。

  語尾は「と思う」でいい。


  印象的だった事、特別だと思った事、忘れられない表情、忘れられない言葉、泣いてしまった理由、つい笑ってしまった場面、絶妙だと思ったタイミング、音楽の工夫、光の調整、真似してみたいファッション、……。いろいろ。

  そういうことを思い浮かべて、自分なりに決着をつける。

  逃げてはいけない。

  正々堂々と作品に向き合って、自分なりの言葉を探してみる。告白タイム。


  「感情移入できない」「キャラクターの描写が甘い」「テーマがみえない」「ストーリーが読めてしまう」「深い/浅い」「重い/軽い」など、ダメダメワードを使って映画の話をしないで。

  もっとアナタの感じたことを。

  わかったつもりのしたり顔で批評されても。それこそ無意味。偉そうに砂浜であぐらをかかないでほしい。


  本当の映画ファンは、海に向かって叫びます「好きだー!大好きだー!」

  あるいは、「バカヤロー!」

  手放しの讃美か、あるいはやるせなさ。何故だ、何故なんだ!


  個人のブログで映画について語ることは、自分のことを語ること。

  だから映画批評を読んでコレはいいと思えたとしたら、その人の感性や文章力が素晴らしいのであって、作品の良し悪しはまた別の話になる。

  読者は批評を読んで満足する。

  その映画を、その人の文章を通して観た気になってしまうからだ。

  「良い作品なので、観てね^_^」という文章の目的があったとしても、本末転倒で逆説的なのだけど、きっと読者は作品を観ない。


  作品研究やら分析、分類などをしたいのなら、ブログではなくて論文にまとめてどこかの大学に提出してください。

  ブログで映画批評をすることの意味は、自分のフィルターを通して映画や世界を捉えることで、自分の言葉を探すこと。客観性を持たせて、説得すること。

  

  本当に自分の気分にピッタリくる映画ってそうそうない。

  体現してくれた俳優さん、監督さん、裏方さん達には感謝するだろう。ありがとう!!!って。若干の悔しさと共に思うはずだ。

  私がモヤモヤとしていたことに何らかの答えを出してくれたありがとう!私が無意識に憧れていたことを教えてくれたありがとう!形にしてくれてありがとう!ありがとう!

  ずっと大事に思うことにする、と決めること。


  そんなに難しいことではない。


  さあ、映画の話をしよう!