ジョン・リスゴー出演。
ジョージ・ロイ・ヒル監督。
映画っていいなぁー……、とぼんやりとし、
次に選んだのがコレでした。
間違いなく、いい。
コレの良さがわからない人は、映画に向いていないと思う。他のことに時間を使った方が有意義です。
「スローターハウス5」の監督です。
映画は観てないんですけど「スローターハウス5」を映画化しようと思うのが、すでにすごい。「ガープの世界」も相当に映画化は難しいと思うけど。
映画は、暴力にまみれた世界でした。
その中で、政治的に文学的に闘うそれぞれの姿が、実に詩的に映像化されていて、なんとも言えない映画の妙が滲んで染み出ていた。
ロビン・ウィリアムズの無邪気さによって、全体が御伽話のようにやわらぐ。
グレン・クローズの堂々とした不思議な強さで芯が真っ直ぐに通る。まさにヒーローの貫禄。看護婦の制服でずっと通すのも異様。でも白衣が似合うのです。紙一重です。これがデビュー作なのです、恐ろしい。
ジョン・リスゴーは、性同一性障害の役。どっから見ても男なんだけど、映画ではちゃんと女性に見える。普通に友達になりたい。すごくいい人です。泣いたり笑ったり、可愛い人です。彼が「ガープの不思議な家族たち」と、鑑賞者の私たちとを結ぶ役割を果たしたと思う。奇妙な人と当たり前に普通に接する稀有な人。
弱者のための映画です。映画の中では虐められたりしますが、本人たちはめげてないし、それなりに幸せそう。あらすじを書けば、多分、悲劇にしかならないけれど。暴力の連続だけれど。
抱きしめあう、愛の物語です。
オープニングとエンディングにフルサイズで流れる、ビートルズの"when I am 64"が、また良いのです。
本当に、いろんなことを考えてしまいます。
すごくとぼけた曲なのにね。
普通の、ありきたりな人生なんてひとつもないと思うのです。