今日、お客様の乳首が透けていた。
お姉さんではない^_^
おじいさんである。
どこで買ったのかわからないような、ポロシャツ?白、襟付き長袖なのだけど、ガーゼ?
麦わら帽子の、ぴんぴんわらが飛び出ているものをかぶり、
セカンドバック。
下半身、足元のファッションは確認できなかったが、多分それなりにキメテイルはず。
もちろん、日焼けした笑顔だから、キマッテイルのである。なかなかセクシーだ。
無茶苦茶透けている訳ではない。朧げに透けている、確かに透けているけれど、目を背ける程ではない。
もしも若者であったら重ね着する透け感だが、彼は重ねない。堂々としている。70から80にかけて許される、生々しくもなく汚らしくもない、フォークロアファッションだろう。
ちょっと思い出話。
大学のゼミの友人キノップは、私の大切な友人の1人だ。
実はキノップには、家族ぐるみで良くしてもらっている。
キノップ家に泊まりにいってキノップ父の手料理をご馳走してもらったり。キノップのお姉さんと私と二人で(キノップ抜きで)ライブを観に行ったり。キノップの愛犬と親しんだり。面識のないキノップのお兄さんともしも私が結婚したら、家族になるんだなぁ、と夢想するような、なんとも居心地のよい家族であった。
キノップ母のファッションは、斬新であった。
キノップとキノップ姉の、いらなくなった服を、独自にアレンジして気こなすのである。当のキノップが「なるほどねぇ、……」とうなづくような着こなしである。
私も思う。
姉妹はこだわりがあって、雰囲気のある媚びない洋服を着ている。男受け、悪そうな。演劇好きです、みたいな。
いくらオサガリだからって、他人が(家族だけど)、よくもまぁ、姉妹の好みをブレンドして組み合わせて着るなぁ!と思う。それが姉妹流ではなく、母流なので過剰に驚く。私も(なるほどねぇ、……)と思っている。姉妹だって微妙にテイストが違う。お互いに服の貸し借りはある。けれど、母のリミックスは凄まじい、新しいのだ、オサガリなのに。
「好きなものを好きなように着る」が徹底しているのかなぁ。
「自分らしく」というのはない。
いや、あるのだろうけど。
風に吹かれるように、と言ったら出来すぎだけど。さり気なさ、がカッコよいのだ。
新聞で(アグリファッションショー)と題した農作業着のファッションショーの写真をみた。北海道の学生が考案したファッションなのだけど、何か違う。機能性とかデザインではない。
(かかしコンテスト)をみても、何か違う。奇をてらってはダメです。
ここらのおばあさんのほっかむりは、完璧な曲線だし、
色褪せした作業着は、棚に吊るしっぱなしのジャケットより味わい深いし、
悪いものじゃない。
ここらには、ハッとするようなお地蔵様がいる。
赤の前掛けではなく、
子供服のオサガリ。
ちゃんと似合うし、馴染んでいるし、なんだか暖かい。大切に祀られているのもわかるし、親しみもわく。
いつか、安西水丸がどこかのカカシに心奪われたという文章を読んだ。カカシコンテストではなく、本物のフォークロアなカカシ。作ろうと思って作れるカカシではなかった、と。
若者の追いつけないような斬新さと、
懐かしさとさり気なさと、
風に吹かれるような強さがあったのだろうな。
結局、大切なのは中身(カカシでもね)
外側ではないな、と思うのです^_^