花を供える。

  昨日は墓参りをした。

  知らない祖先の墓だけど、花を供える。


  私の父方の墓。

  父の母、父の兄弟の嫁が其処にいる。生前の彼等を私は知らない。

  父の先生の墓も近くにあり、花は供えないが、手は合わせる、花筒に水を足す、水をかける。

  今年は暑かったね、南無妙法蓮華経。

  

  親戚のおじさんとおばさんもいた。私は父の姉にあたるこのおばさんと、その夫のおじさんが好きだ。彼等はおしゃべりなのだけど、ずっと聴いていたいようなおしゃべりをする。(私が、私は)というトンがった感じが全く無いのが心地よい。うるさくない。夫婦は似てくるものだ。互いの優しさに包まれて、私まで優しく相槌を打つ。

  

  お花が好きだったからなぁ、お母さん、良かったなぁ、また来るからなぁ、とおばさんが話しかける。

  見晴らしの好い墓だ。


 古いお墓は土葬。

  大小の丸い石を配置している。墓と墓の間に、新しく埋める。繰り返し、祖先の敷地で、埋葬された。墓と墓の間に。その、墓と墓の間に、埋める。やがて朽ちて、石も風に吹かれ水に流され、平になるのだ。

  現代は火葬で墓石もピシッと建っているけど、私はその折り重なるような土葬に憧れた。


  墓守りは大変だけどね^_^


  此処に入るような気もしない^_^


  でももし。…。


  …親戚のおじさんとおばさんも、此処ではないかもな。


  …でも好い。私は花を供えよう。

  父の母が、花が好きだったと聴いてしまったから。知らない祖先、なんてことはない。

  ご先祖様。


  南無妙法蓮華経。


  子供の頃、手を合わすことの意味がよくわからず、神様にお願いするように願い事を唱えた。

  頭がよくなりますように、試合で勝てますように、みんなが健康で幸せに暮らせますように。父の母は、苦笑いしていただろう^_^


  至らぬ子孫ですまぬ。


  また来年、逢いにきます。