待っている、火曜日。

  ウッディ・アレンの映画で。

  図書館か書店で、女の人と距離をとりながら彼女を見ているシーンがあって。静かに本に囲まれて、棚と棚の間から女の人をそっと追う。女の人は本か雑誌に割に集中している。そんな彼女を見ているシーン。アレがすごく好きなのです。

  

  だから待ち合わせは、書店にすることが多かった。

  時間も調整できるし。

  

  本を散策する人ってイイ。


  駅の改札口で相手を探す時は、物欲しげな表情の人が多いので、自分もそんな顔をしていそうで嫌だ。駅の改札口の必死の顔は、いけない。

  だからといってヘッドホンの音楽に聴き入っていてもいけない。

  時間つぶしに文庫本開くのも駄目だし、スマホいじっていてもいけない。

  妙にウキウキしているのも恥ずかしいし。

  疲れていてもいけないし、慌てていてもいけないし、緊張していてもいけないし、眠そうでもいけない。

  どうすればいいんだ!

  馬鹿みたいに、ぼーーーーっと待つべし。

  ……無我の状態に入っていても、怖い。

  そんな顔、誰にも見せたくないのです

  

  相手よりも先に、自分が相手をみつけたい。ちょっと手を挙げて、合図するのは嬉しい。

  人混みから、その人を見つけるのはとてもイイ。私の知らない顔の、他人のようなその人を見つける。それから、私に気づく知った顔のその人を見ることができる。他人から知人へ。顔が変わる、その瞬間はすごくイイ。


  必死になるのも嫌だし、馬鹿みたいにぼーーーーっとしていてる顔を見られるのも嫌だし、、、、となると、やっぱり書店なのです。


  待ち合わせというよりも。ちょっとはぐれてまた出会った、みたいな感じがイイ。本を散策。なんか良さそうなの、あった?という挨拶がイイ。

  それじゃあ行こうか、というのがイイ。

  ちょっと手を挙げて合図。はできないけれど、静かにそっと近寄れる。本に集中するその人も、私の知らない他人の顔。何を読んでいたのか確認する、一応。


  広い書店だと大変なので、コーナー指定して。

  人がたかる入り口ではなくて、奥の写真集コーナーとかね



http://youtu.be/PU_zCi10RnE