外出先で仰向けになるのが好きです。
一応大人なので、ちょっとわきまえますが。
堂々と横になれるのは、やはり山。大きな岩などあるととりあえず仰向けになります。休憩用ベンチなどでも。
足を投げ出して。荷物おろして。手も投げ出して。
身体全体のチカラを抜いて空を見上げると、本当に気持ちいい。〈私、チカラ入ってたなぁ〉と思う。チカラ入ってない人なんて、そうそういない。逆にチカラを抜くのが、どんどん難しくなっている世の中である。
ちなみに、ヨガではこの弛緩仰臥のポーズをプラクティスの最後に行い、“亡骸のポーズ”と呼ぶ。心地よく身体を動かした後の“亡骸”は、すーと溶けていくようで、とても気持ちいい。
寺や神社なんかでも、ごろんと横になりたい。と隙を伺っている。
天女や龍が描かれた天井なら、是非仰向けで鑑賞したい。
公園に行くとやはりピクニックシート持参の人たちが羨ましい。円座になって食事もいいけど、川の字になって仰向けになってるのを見たりすると激しくジェラシーである。
やってみたら、思った以上に気持ち良いものなんだよな、アレって。
歳とった大人がやるもんだ、と高校生の時には思っていた。そんな私だったが、大学生になった途端に率先してやるようになった。中庭や屋上で、日陰や夜に、友達と。ダラダラと。うちあけ話も仰向けならきっとできる。あの頃、何をそんなに一生懸命話していたのだろう。
仰向けが無理なら、せめて木に沿うような気持ちになって、空を見上げる。
せめて岩に沿うような気持ちになって、地平を見つめる。
せめて川に沿うような気持ちになって、先を見つめる。
そうすると自分以上の思いつきをもらったり、ポジティブネガティブとかちまちま言っているのが馬鹿らしくなる。
象の心臓をもらったように、ゆったりとする。
ぼんやりと退屈することって、悪いことではない。
たまにはね