あー
読んだ
読み終わった
終わってしまった
タイトルの(わたしを離さないで)は、実際に存在するカセットテープでした^_^
Never Let Me Go
そうか。これか。……。
改めて、よいタイトルだなと思う。
後ろに柴田元幸の解説が付いていた。
……「細部まで抑制が利いた」「入念に構成された」といった賛辞が小説について口にされるとき、その賛辞はどこか醒めた感じに聞こえてしまうことが少なくない。むろん好みは人それぞれだが、我々の多くは、書き手があたかも抑制などいっさいかなぐり捨てたかのような、我を忘れて書いたように思える作品に仰天させられることを求めているのではないだろうか。
日本生まれのイギリス人作家カズオ・イシグロの第六長篇にあたる『わたしを離さないで』は、細部まで抑制が利いていて、入念に構成されていて、かつ我々を仰天させてくれる、きわめて稀有な小説である。……
と、まずは漠然とした言い方で賞賛したあとは、内容をもう少し具体的に述べるのが解説の常道だろう。だがこの作品の場合、それは避けたい。なぜならこの小説は、ごく控え目に言ってもものすごく変わった小説であり、作品世界を成り立たせている要素一つ一つを、読者が自分で発見すべきだと思うからだ。予備知識は少なければ少ないほどよい作品なのである(だからといって、再読に耐えないということではない)……
柴田さんの仰る通り。
あんまり脇からゴチャゴチャ言うのは、よろしくないです。
(それでも言う)
私がこの作品が良かったと思う点は、内容と語り口。
(内容については絶対に器量不足で語れません^_^)せめて語り口について、少し。好きだったことを書いてみます。
- 一人の頭の中で物語が進むこと。思ったことも考えたことも望んだことも現実も、並列で語られる。歪曲したり夢と混同するような人格ではないので、安心して付いていける。…いやー、妄想かもしれないけど。妄想でもいいかなぁ、クレバーで健全な妄想。
- ですます調でずっと続いて、手紙を読むような親密さがあること。
- 〈私〉は〈わたし〉と表記されること。なんというか、アタシでもない私でもない、〈わたし〉というのが相応しい気がする。訳者、エライ!
- 思い返せば、描写らしい描写って、実は無かったこと。何色の髪、何色の瞳、美人なのかどうか、太っているのか痩せているのか、全く無かった。建物や場所の描写も少ない。だから〈水色のポロシャツ〉など出てくると印象に残る。夜みる夢に、色がついていないとか、そんな感じ。説明や描写は少なくても無条件に受け入れてしまう。淡々と言ったこと思ったことやったことの羅列だった。
- だからといって、我が強くないこと。友人や先生や先輩や提供者の話ばかりだった。だから〈わたし〉は幽霊のようにふわふわと心許ない。のっぺらぼう。
普通だったら読者がありありと思い浮かべられるように固有名詞を乱発するのに。この作品は完全に閉じた狭い世界の物語だ。完璧に閉じている。固有名詞と言えば、イギリスの地方都市の名前、ノーフォーク、ウェールズ、キングズフィールド、ドーバー…
そしてジュディ・ブリッジフィールド。
これを基底にして、奇抜な設定、三角関係ラブストーリー、真摯な在り方、いのちの役割など、てんこ盛りでした
☆
映画化されてました^_^
あ!蜷川幸雄で舞台もやるみたいです。
でも、なあー
読んでほしい!
いいですよ!