「坂道」という言葉。
坂道にたくさんの名前をつけるのは何処か日本的だと思う。
国土が狭い、徒歩が多い、、、暮らしに密着した感覚で、辻に名前をつけるように坂道にも名前をつけた。
「川」を境界にしがちな日本人は、同じように「坂道」も境界にしている感じがある。サカはおそらく境、国の境でもある。
古くは黄泉比良坂、あの世との境界。
結構あります、幽霊坂、狐坂、狸坂。
「坂道を転げ落ちるように」という比喩もある、どんどん不幸にはまりこむ感じ。
「出世街道まっしぐら」というのはつまり「栄光の階段をのぼる」こと。
「ステップアップ」という言い方もする。
東京(江戸)の街はだいたい山の手が高台にあり、下町は入り江を埋めたてたもの。オカミとシモジモ。高低差は歴然と生活の中にあった。
上昇志向は、世の中を支配している
もっと高いところへ
もっともっと高いところへ
もっともっともっと、高いところへ
皆さん、アップアップしながら頑張っている。
……ちょっと落ちついてしまったワタクシは、隣が見えてきた
あるいは別れ道
自然の地形はゆるやかにカーブをきり
情緒を残し
妖怪が現れる(のっぺらぼうとか)
坂道の名前を読む
まっすぐの坂道を自転車でシャーッと下るのは気持ちよかった
坂道を自転車で立ち漕ぎでのぼる時、何故だか途中で足をつきたくなかった。
スピードが落ちてプルプルと震えながらも、足をつきたくない一心で座り漕ぎも組み合わせて、なんとか坂道をのぼりきったものだ。
あの無心、あの意地、あの習慣。
おまじないかジンクスに近いのだろうか(足をつかずにのぼりきれたら今日は幸せ、とか)
妖怪の仕業だったのだろうか?
何かに憑かれていたとしか思えない
私の後ろで小学生の男の子が「すげー」と言ったのが聞こえた
坂道は得体のしれないモノも通り過ぎていく