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照柿の色。

日常 読書
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 午前中に花壇の雑草を抜いて綺麗にしようと頑張ったのだけど、芝生が入りこんでいて大変だった。
  私の花壇はレンガを積んで土を盛っただけなので、玄関前の芝生が入りこんできていた。
  芝生は先端が若く細くなって侵略していく、斜め×斜めに根っこを張って強くなっていく。
  だからこその芝生なのだけど。
  
  小さな蟻が群れて巣をつくるように。
  気づけば私のオステオスペルマムは芝生に埋もれている。
  花壇が芝生になる予感がした……

  ザックザクと耕して花壇内の芝生を剥がす。そこらの雑草より数段タチが悪い。根っこを残すと意味が無いのでひっぺがす。レンガの下から侵入しているのでレンガをどけて掘り起こす。
  (夏なんかは芝生の方が涼しくて良いのだけど)今は今。親の仇のように容赦無くやっつける。根絶やしにする。
  夢中になって。ランタナの根っこやナデシコの芽まで傷つけてしまう。花がまだついている水仙ムスカリの根っこも露わになる。
  根は絡みあってるので仕方ない、放置するよりはマシだと思いながら作業をすすめた。人生はままならない。

  レンガをはずし、鎌をシャベルのように振るい、根っこの行方を追っていると、何をしているのかわからなくなる。
  こちらは花壇でこちらは玄関前。cultivateする私、これこそculture。

  根っこは繋がっているのになぁ


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  『照柿』高村薫講談社、1994年。を再読した。

  刑事の合田雄一郎が、幼馴染みの達夫に再会する話。美保子という女性も登場する。
  刑事事件も追っているけど、メインは合田雄一郎の物語。
  ストイックに見せかけてわりと(本編では)本能的なんですよね。そこらへんがカタルシスです私の場合。
  作者が女性だからかもしれない、合田雄一郎がかっこいいんですよね。男性が読んでもそう思うかどうかはわかりませんが。男性作家だったらもっと登場人物にいろんな事を我慢させると思うのです。律する強さももちろんあるのだけど、それ以上に…やっちゃってます。
  描写なんかは任侠映画みたいに渋くてオジサン好みなのかもしれない。渋い割りに、クライマックス的なセリフがたくさんあって結構悶える^_^(くぅー!と言って倒れる)
  「美保子のばか」と達夫がぽんと言う場面があるのですけど、関西弁の達夫が「アホ」でも「阿呆」でも「バカ」でも「馬鹿」でもなく、「美保子のばか」と言うと断然差し迫る(この例えでは伝わらないかも。しでかしちゃっててフォローできない程かばいきれないのです…呆れている訳ではなく絶望している。…ますますわからないですよネ!はは)

  考える前に話しかけてしまったというような迂闊さ。思わず追いかけてしまったというような生理。咄嗟に出た言葉。
  視覚的だったり匂いを感じさせたり眠気と戦ったり、そういう描写の積み上げは読者の体感を誘う。自分だったらどうするだろうと考える前に、自分が登場人物となって物語を歩き廻る。読みながらヤケ酒を飲みたくなる。渇いてくる。

  つまり叙事詩に見せかけた叙情詩なのです。
  合田雄一郎が二十歳の頃、義兄加納祐介に勧められて読んだ『新曲』も叙事詩だった。人生の道半ばでダンテは正道を踏みはずし、暗い森の中で迷う。ダンテは詩人ヴェルギリウスに呼びかける「あなたが人であれ影であれ、私を助けてください」
  すがりついて、絡まりあって、呼びかわしあって、号泣しながら叫んでいるような作品です。
  ベタベタしてないけどコテコテです。

  私はこの本を二十歳くらいの時に読んだ。その頃は(男っぽい文章を書く人だなぁ)と思ったような気がする。男が男に惚れるような男っぽさ。物語の中で雄一郎と達夫は美保子に惚れる訳ですけど、(こんな女に会ってみたい)と私は思うのです。ややこしいけど、女(性作家)が男らしいと思う男(登場人物)が、惚れる女(登場人物)な訳です。ルパン三世峰不二子村上春樹小説に登場する女性なんかは、男性の偶像だと言い切れる。美保子も偶像だけれど、いたら嬉しい。
  今回は宮沢りえで脳内再生した^_^歳を重ねたことで宮沢りえの良さがわかるようになった。それが今回の再読の収穫。
  達夫もかっこいいです。

  物語中、電話ボックスが登場する。
  古いよなぁ。ファンタジー程には古くないけど、ノスタルジー。
  刑事がヤクザみたいに暴力的な場面があって、ジェイムズ・エルロイを思いだした。LA市警も相当暴力的だったけど、あれもファンタジーなのかノスタルジーなのかわからない。


  ☆
  
  草むしりと読書感想文を何故ひとまとめにして書くのか??

  それは草むしりしながら私が合田雄一郎ゴッコしていたからです
  (何やってんだ俺は…!)


  根っこは繋がってるんだよね
  善悪も美醜も、正義も、情も。
  好きも嫌いも。

  隙間から崩れてゆき
  奥深くへ伸び
  見えないところで絡まりあっている