ホタル巡礼。


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  ジャガイモの花。

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  通りがかった荒れた庭に、美しく咲いたアジサイ

  
  茶色の猫は、余命宣告されて退院してから食事をしていない。
  しばらくの間は、手術する際の点滴で栄養は足りていたのだろうけど。
  水は自分から飲むし、オシッコもする。だけど食べない。6日食べていないことになる。動物病院でチューブ入りのエサをもらったのだけれど、無理矢理に流し込むように注入器で与えるので、やらない。エサ鉢にそれを少し入れて、舐めればいいな、と思い置いている。
  痩せて小さくなったけれど、大人しく穏やかな顔をしているので、それでいいと思っている。

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  ごろ〜ん。今日の夕方。

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  のび〜。今さっき。

  ボロボロだけど、自分なりに毛づくろいしている。痛そうでも苦しそうでもないから、私は助かる。痛そうにされたり苦しそうにされたら、辛いもの。

  鳴くことが少なくなった。シッポはまだぴんぴんとよく動かす。触った感じが、少し体温が低い気がする。そりゃそうだよね、食べてないもの。燃焼するものが無いもの。
  
  ゆっくりと、眠るように、機能を停止していくのかな。
  少しづつ、瞼が落ちるように。


  ☆

  土曜日に、人形浄瑠璃の講演の手伝いをした。
  田舎の伝統芸能だ。
  以前は小学校の授業でやるほど流行っていたものが、廃れてしまっていた。2年程前に、今いちど復活させようとグループができて、人形の修理もした。三味線と詠いも生演奏でやる、わりと本格的なグループだ。リーダーはいとうさん。私はいとうさんが詠うのを初めて聴いた。
  
  (歌舞伎や浄瑠璃は娯楽なのかもしれないけれど)浪々と詠う声は、どこか神聖であった。
  心中したり仇を討ったり、そういう内容なのだけど。人間の声は正直だなと思った。悲しみや願いがストレートに出る。
  上手い・下手の問題ではなく、いとうさんの正直さが滲み出るようで切なかった。
  触れてはいけないのでは、と思う程に張り詰めていた。

  その人の気持ちなんてものは、他人にわかる訳もない。

  「傷み」や「喪失」や「迷い」や「後悔」の経験が無い人は、その経験に、同情することさえできない。想像もできないだろうと思う。

  いとうさんの「傷み」や「喪失」や「迷い」や「後悔」が、セリフに混じっているような気がした。人には言えないような心の内を、少なからず見せている。

  「声」に惹かれるのはつまり、そういうことなのかもしれない。

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  毎晩のように、ホタルをみに行く^_^

  昨日は月明かりがものすごくて、川にも月が映っていた。実際の月と、川に映る月と、両方から照らされた。明る〜い。
  月明かりに浮かぶ私の影は、非日常的で少し怖い。
  遠くでボチャンと大きな水音がする……もしや、河童⁈
  カエルやら鳥やらの大音量に混じり、「えーっと、蝉⁈」「うーん、鈴虫⁈」と思われるモノも混じり、夏だか秋だかわからない。
  田んぼにカエルが飛び込むと、波紋の影が広がる。
  ホタルだけが、とても静かに飛んでいる。
  
  今日は曇りだったので、闇夜のホタルだった。闇夜のホタルは宇宙っぽい。
  
  星が燃えるような、命が燃えるような、柔らかいホタルの光。


  命って、ホント、奇跡なんだな
  という今の   こころもち