フィンランド湾に浮かぶクルーヴ島。
1964年から1991年まで。30回近くの夏をここで過ごした。
島の面積は6000〜7000平方メートルで、ヤンソンいわく「一周するのに8分もかからない」
電気もガスも水道もない。岩場に自分たちで小屋を建てた。
島では、親友のトゥリッキ・ピエティラと二人暮らしだ。彼女はエッチングなどを手掛けるグラフィックデザイナーをしている。夏の間、気ままに本を読んだり書いたりして、時には泳いだりして過ごしていた。(世界旅行も二人は共にしていた。観光地ではなく、気がつけば街のはずれに行きつくという)
小屋はさほど広くないワンルームと地下室。部屋の4つの壁には一つづつ窓。理由は「どの方角の眺めも捨てがたかったから」ヤンソンは石の仕事を担当し、薪小屋の壁や石段をつくった。木工が得意なピエティラは、棚や箱をつくった。
(ドキュメント映像ではピエティラは薪を割ったりテントを張ったり忙しそうだが、ヤンソンはというといつも踊っているそうな^_^とても愉快そうに。パーティーが好きで、自由に踊るのが大好きだったという。そういうのって可愛い^_^)
大嵐が来たら、何もかも流されるだろう。
嵐が近づいて去って行く様子を、どの窓からでも見られるというのは素敵なことだろう。
小屋は一応島の中央にあるが、小屋のすぐ横は湖というか(溜まり水)になっている。小屋の西側が高台。ジャガイモ畑もある。
ナイーブな芸術家のユートピア
それにしても!
…それにしても!
これで足りるのだなー、と感心する。
フィンランドってすごい、、、
(自分の世界を邪魔されたくない)っていきなり旅に出たりするんだろうな。
カウリスマキの映画をみていると、無愛想で不器用で閑散としていて、なんか虚しくて、根気強い。
(北欧がそうなのかフィンランドがそうなのか、ちょっとよく分からない点もあるけど)税金が高い分福祉はかなり充実していて、女性の自立を支えている。定年後は、みんな遊んでいる。大学はタダ。失業者もタダとかちょっと安い金額でサービスセンターを利用できる。
子供がいるから家族がいるから離婚できない、なんてことはない。
自分の幸福のために、どんどん離婚する。
それで皆が幸せか?っていうと、そうでもないらしい。
孤独。
自殺が増えている
自由と孤独って、本当に隣り合わせだなぁー、と思う。
赤い半纏を着て素敵な笑顔を見せるヤンソンも、内面の孤独を見つめて作品をつくった。
人を避けるために小さな島で暮らしたのも本当だろうし、
旅していたら素敵な(冒険の果て)を見つけたというのも本当だろう。
孤独は最高の贅沢、それも悪いことではない