長谷川和彦 監督。
今村昌平 制作。
中上健次『蛇淫』原作。1976年。
パッケージの水谷豊がかっこよくて、いい表情してたので、ついつい。
杉下右京ばかりみてたので驚くばかりです。
なんじゃい。どのシーンもかっこいいではないか!
物語は、両親を殺してしまう息子の話。
息子水谷豊は父を殺してしまう、、、そこに現れた母市原悦子。この母子のやりとりが怖い。一度は父を海に捨て共に逃げようとするけど、必死の母は女の部分も総動員で息子に迫る「じゅんちゃん、アレしよぅ」拒まれたら決死の覚悟で包丁バトル。怖いよー!!泣きそう!!ホラーです。
その挙句女の子原田美枝子と逃げるという展開。
「青春の」とタイトルにもある通り、なんか大人になりきれない男の闘いみたいな映画でした。
大人になりきれない所が痛々しく、キラキラしています。「おまえ、怖いんだろ!怖いんだろ、ハハ!」って笑ったりする感じがジェームス・ディーン。
前半の殺人シーンがあまりに凄惨でヤバイ映画になりそうな予感がしたけど、後半で息子が海辺で泣くシーンなど、妙に美しいです。キチガイ映画ではなく愛ある映画。
原田美枝子も可愛かった「じゅんちゃん、じゅんちゃん」と呼び続ける。犬っころみたい。
もっと淫乱な原作だったのかもしれないけど(読んでないのでわからない)、彼女の笑顔が可愛いんだな。左耳が聞こえない設定。水谷青年が聞こえない左耳に、告白するシーンなんかはその弱虫っぷりにキュンとする。
可愛い。
以前みた「さよなら渓谷」「悪人」なんかも、「愛のために逃避行」映画なんですけど、どうも暗くて重くてネットリしてて好きじゃない。
(原作の吉田修一は読めるんですけど)
愛の逃避行なら「青春の殺人者」くらいぶっ飛んでてほしい。激しくあってほしい。
私の感覚が昭和なのかもしれないけど。
うーん。
異常と日常。
憎しみと愛情。
強がりと弱音。
逃げる男、追う女。
よい映画でした