言えない事もある。


  岸本さんの話。
  40歳、女性、子供2人(高校生女子、中学生女子)、夫もいい人そう。
  いつも明るい岸本さんは、話し上手。モノマネしても汚くならないし、うるさくないし、頑張り屋さんで真面目、オシャレ、可愛い。
  仕事は非常勤だけれど人柄を買われて(?)前の方で活動的に働いている。
  
  ココが問題。
  「非常勤だけど人柄を買われて、非常勤以上の仕事をしている」こと。
  責任感が強いので残業しているけど、労働基準法にふれるほど労働している。
  自分の成長のために講習会に参加するけれど、勤務時間として参加するのか有休で参加するのか、講習会代金は組織の経費として落ちるのか自己負担なのか、常に曖昧である。
  「好きで自発的に働いている」と上司はみている。
  働くって、何だろう。
  
  打ち込める仕事があるというのは素晴らしい事だけど、「好きで自発的に働いている」と認めてくれるのはありがたい事なのかもしれないけど、監督責任はあるはずだ。
  誰かが何かを変えてくれるのを待つより、サッとやってしまえば終わる。誰もやらないから、彼女がやる。監督は仕事を振り分けるのを放棄してしまって「何とかなるだろう。何とかしてくれ。いいようにやってくれ」という態度らしい。

  非常勤だから、正職員だから、と言い訳にするのは嫌なのだけど。
  なんかお互いがおもしろくないだろう。「あいつがしゃしゃり出るから、こちらまで動くように期待されてしまう。大人しくしてりゃいいのに、チキショウ」「いいようにやってくれって言われても。そこまで権限ナイんですけど。相談しても嫌な顔される。チキショウ」
  うんうん、わかる。
  なんでこんなに難しいんだろう。
  
  同じ企業利益を目指して働いてるはずなのに、温度差があってやたらと面倒くさい。突き詰めると、すごーく幼稚な問題が浮かびあがって。
  やたらに疲れる。

  岸本さんは強いけど、その強さにつけこまれる。
  摩耗していつかピシッとヒビが入ったらどうするのか。
  非常勤の自主性に頼りきる組織の監督責任者は、労働局にビビり、年末年始に彼女にほぼ一ヶ月の休暇を与えた。
  彼女は働くためにやるべき仕事を整理してほしいと訴えても、その回答はゼロに等しい。「背中を向けている正職員に相談しろ」とのこと。相談できたらこんな事にはなってないです!
  
  一ヶ月あけて、この木曜日に職場復帰らしい。
  机の上はてんこ盛りなんじゃないか?心配になる。

  魔女会が開催され、皆に「辞めなよ、もう」と言われていた。
  「でも仕事を通じて知りあった人とかいるじゃん。よくしてもらってるんだよね。育ててもらった。その人たちを思うとなー…。それだから好きで働いてるとか言われるんだよねー…」
  悩ましいところだ。

  私は部外者だから、言いたい事は言える無責任さがあり。
  それでも言えない事もある。


  ☆


  彼女のお父さん、65歳にして胃ガン、手術して胃を三分の二ほど切除。
  リンパに転移していたので抗がん剤治療をするらしい。

  「リーチかかった」と彼女は言った。

  でも、食欲があるから元気らしい。
  病院では食欲がなかったらしいけど、家に帰ったら食べれるようになった、と。

  休暇は遊びに出かけるのに大忙しで、不摂生を続けていた^_^
  「酒は薬」と言いながら父親と皆が呆れるほど呑んだらしい。
  
  まぁ二人で呑みたいように呑むんだからいいんじゃないか。
  父親いわく「まだ死ねない」


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