「うん」
「は…?」
「…?」
「血を抜くやつ」
「うん」
「400mlとりたかったみたいなんだよね。体重は50kgあるか?ってなんべんも確認されて。400ml私初めてだったから緊張したし」
「うん」
「立ったまま倒れたら危ないからおかしいと思ったらすぐしゃがんでください。とか、無理してはいけない。とか、力仕事は控えてください。とか言われて。…ますます緊張して。でもイヤです怖いからやめますとかもう言えないじゃん」
「うん」
「だけどさ。その献血の後、全然フツーなんだよね。ちょっとくらいさー、貧血を感じたかったのに。か弱さアピール?」
「うん。元気なんでしょ?いいじゃん」
「ちょっとくらいそういうの無いとさ。アレでしょ。まるで血の気が多い人みたいじゃん」
「いいじゃん。元気で。良かった良かった」
〈献血をして貧血してみたかった話〉をしたかったのに、話出しで失敗して点滴やら検疫やら検閲やら言ってしまったから、なんだか聞き手の想像(期待)に応えられなかったようだ。
点滴→病院沙汰
検疫→家畜沙汰
検閲→社会不適合沙汰
「献血」がスッと出てこない私が悪い。
「貧血」に憧れるのもちょっとおかしい。
血を抜くと、身体は軽くなるような気がする。
医療が発達しても、血は作れない。
誰かのために協力しましょう。
軽くなった頭でも仕事はこなせる、日常は変わらず。
普段から頭は軽いということだ^_^
この世にし楽しくあらば来(こ)む世には 虫に鳥にもわれはなりなむ
生ける者(ひと)つひにも死ぬるものにあれば この世にある間(ま)には楽しくあらな
死を怖れることと生を楽しむことは、背中合わせですな^_^