『漂うままに島に着き』読了

  内澤旬子朝日新聞出版、2016。

  ふーむ。

 

  「この本を手に取る人って、どんな人なんだろう」というのが素直な感想。。。

  やっぱり女性だろうな、、、

  そして単身者だろうな、、、

  移住とか暮らしとか興味ある人かな、、、

  多少は内澤旬子さんのファンかな?

 

  私自身は内澤旬子さんの「文章」のファンである^_^

  書き方が率直で。自分の気持ちに忠実で。

  表し難い感情の部分を、書き表わそうとして真っ向から挑戦しているのがわかるので、素っ気ない結論だったり言葉だったりするのが沁みる。うーむ、カッコイイ。かっこ悪いところがカッコイイ。いや、なかなか出来ない、このバランス。

  「自分とはなんぞや?」「本当の気持ち?」「なんで?」

  冷静に客観視しつつ、そして熱く。

  読みながら詳細で具体的な言葉で想像し、他人事のはずなのに、いつしか自分の問題ともシンクロするようで、曖昧だった自分が恥ずかしく、そして読み切ってしまう。

  

  そのうえ「なんとなく」判断を下していくのにも、「なんとなく」共感してしまう。

  できないと思ったらそりゃできないし。とにかくやったらできるもんだ。やったらやれた、それだけ。正に、身体のいいなり。意識するよりも速く身体は答えを持っている。「なんとなく」

 

  最高に沁みたのが「小豆島の生活が、退屈になるその時が、おそらくここに根付く時なのかと思う。それがいつになるかは、わからない。今はまだ、本当に何もかもが面白くて仕方ないのだから」

  これほど分かりやすい言葉があるだろうか。この本は、東京から脱出し、自分なりの仕事の仕方&自分なりの身体のメンテナンスの有り様を記しているドキュメントエッセイなのだが、その端々に愛がある。自分にとってのジャストフィット。納得できて無理のないもの。自分のサイズを真剣に模索していて、その自分を退屈と思うならその時は、その場所が窮屈になっているのだろう。

  つまり根付くことはないのだろうと思う。

  根付いた瞬間に東京の時と同じように脱出したくなるのでしょう。

  作中に出てきた「漂うように暮らす女性たち」…世相のようにも見えるし、自分のようにも見える。危機感もなく女ひとりふらふらと。「自分探し」というよりむしろ「なりたい自分になるために」何か行動している最中なのです。

  スローライフなんて言うけど、現金収入と暮らしに費やせる時間と、厳密に関係していて全くスローではない。手間暇かけて納得のいく自給自足の生活は楽しいかもしれないけど、シビアでハードだ。よく働く奴隷のような同居人がいたら楽しいかもしれないけど。絶対大変なんだって。

 

  暮らしとか。大切にしないとな、、、

  今の私は、仕事や趣味を優先して置いてきている。

  …海や空を眺めたり、美味しく食事したり、誰かと笑いあったり、計画をたてて夢を持ったり、そんな事。もっと毎日の隙間の時間に充足することも大切にしないとなと思うのでした。

 

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