詩の本なのだけど、気取ってなくていい。肩の力が抜けている。猫が伸びをするように寛いだ言葉たちだ^_^
年を重ねると気取るのがカッコ悪く思えてくる。私よりさらに先輩にあたる谷川さんはこのような境地なのだな。飄々としてカッコイイです。
昔から率直な印象の谷川さんの詩だけれど、良くも悪くもおじいちゃん染みた、堂々とした詩集である。うーむ、素敵だ。
まずはページを開いてほしい。
白い表紙の本、真っ赤な紙の見返し、扉も赤色タイトル、めくるとすぐに一片の詩がある。「いまここにいないあなたへ」という9行の詩。手紙のようでもあり、献辞のようでもある。うーむ、憎い。憎からずや
それで、あとがきのあとに目次がある。
うーむ、エンドロールのように余韻が。憎い。あなたが憎い。憎からずや
☆
新しい詩
ぼくの新しい詩が読みたいんだって?
ありがとう
でも新しい詩ならいつだって
きみのまわりに漂っているよ
きみは言葉を探しすぎてる
言葉じゃなくたっていいじゃないか
目に見えなくたって
耳に聞こえなくたっていいじゃないか
歩くのをやめて
考えるのをやめて
ほんのしばらくじっとしてると
雲間の光がきみを射抜く
人の気持ちがきみを突き刺す
オーロラの色がきみに感染する
きみは毎朝毎晩死んでいいんだ
新しい詩をみつけるために
むしろ新しい詩にみつけてもらうために