なおみちゃんの話。
なおみちゃんは平成2年生まれ、24歳。
すらっとしたスタイルの女の子。東京生まれ東京育ち。
現在無職。
身分は旅人。
住民票は東京のままなので、正職員で職探しできない。
山口での床宿は、彼氏の家。押しかけ女房をしている。
彼氏と同棲生活な訳だけど、彼氏の住所は履歴書に書けない。
彼氏は三年間の定期契約労働者で、住居は低価格な賃貸物件を提供されている。単身用だ。
彼女はアルバイトをしているけれど住民票がない者を雇っていいのかわからない硬めの職場なので、「無職」にしといてもらった方が安全。
彼氏の仕事を手伝っているのは周知の事実なのだけど。書類上、何もない。
生活は楽しく充実しているだろうと思われる。貯金を切り崩しているのか、彼氏に養われているのか、謎なのだけど。思いつめた感もないし、バイト代で何とかなるのだろう。…うーむ、だけどなぁ、、。
多分、彼女が望んでいるのは「結婚→出産→家庭」なので、正職員で雇われて住民票もこちらに移す、となかなかなれないのだろう。正職員で自活して彼氏と対等の立場で付き合うという選択肢は彼女にはない。自由時間が減るもの。
それに二年経ったら彼氏は移動してしまうかもしれない。
彼女の場合、山口に思い入れがあってのIターンではない。彼氏と一緒にいたいから東京を離れているのだ。
彼氏が三年間の契約を終えて東京に帰ったとしても、彼女は東京で気持ちも新たに就職活動するのかもしれない。でも履歴書に空白の三年間ができる。
郵便物は実家のある東京に届くのだろう。税金、保険料、銀行等の利息の知らせ、、、諸々。
恋に生きててスゴイなぁー、と思うけど。バイトしていても無職と書かなきゃいけないし。車は?…多分無いよね。山口では車は一人一台です、家庭で一台なんて不便。だからまぁ、常に二人行動になる。
拠り所が彼氏しかない、というのが、どうにも可哀想(というか不便)
遠距離恋愛するつもりもない。
籍を入れるつもりもない。
Iターン正職員するつもりもない。
履歴書に空白の三年間ができても、彼氏と一緒にいたいのです。
無謀な旅のようにも見えるだろう。
(別れちゃったら、ダメになったらどうするの?)
飽きたら止めたらいい、というものでもない。生活変えちゃってるから。
海外を放浪して世界の広さを体験してます!って訳でもないけど、それぐらい自分の人生を賭けちゃってる。
恋している時には
終電が無くなっても平気なのだ。
知らない街にいても
彼氏と手を繋いで歩けば怖くないのだ。
夜の闇がちっとも怖くないのだ。
恋している時には
ずっと一緒にいたいものだ。
(仔犬のように後ろをつき歩くより、もしもなおみちゃんが自立しちゃったら…彼氏の方も籍を入れたくなるのじゃないかなー…、なんて思う。一緒にいる時間は少なくなるだろうけど。
ずっと一緒にいたいから結婚→出産→家庭を望むのだろうけど。女性の手段で。
夜に知らない街で手を繋いでいるだけでは、先には進めないように思われる)
旅を楽しむように今&ココを楽しんでいるのだろう。
恋を楽しんでいるのだろう。
安全な旅なんて、老人向け宴会バスツアーだ。
旅はそもそも無謀なものだ。
そもそも本来、恋って相当に無謀なものだ。