あの頃の気分

絶望をつきつめていくと、厚い雲の合間に見える青空のように、ぽっかりとした虚無が浮かぶ。


どんどん泣いて、涙ってこんなに出るんだと自分で感心して、何故こんなに泣くんだろうと自分に問うてみる。

まず悲しみ。次に悔しさ。プライドを傷つけられたという怒り、ただ単に相手に対する怒り。そして、自分を憐れにおもうこと。それから、こんなはずではなかったという驚き、後悔、どこでどうしたらこうならずにすんだのかというシュミレーションをする。しかし自分の性格上やはりこのようになったであろうと納得すること、(アレ、おかしいな?)とおもっていたのに気づかなかったことにして放置していたこと、今だったらわかるのに、巧みに自分自身を騙していたこと。自分自分を信じられなくなること。


今だったらわかる。

人生の岐路と呼ばれるような重大な時に自分自身を信じられなくなると、あんな風になるのだ。何もかも、どうでもよくなってしまう。絶望と虚無。


今だったらわかる。


自分にとって、大事なこと、大事な人、大事な場所。それを守るために、前向きに努力すること。信じること。

今まで大事に思っていたもの、これからも大事に思っていくもの。


私は生きていて、出会う。別れる。くりかえし思いだす。忘れる。そしてあっけなく終わる。

本当に何もかもあっけない。


また、大事なものを失くすだろう。あの頃と同じ気分になるだろう。今だったらわかることが、わからなくなるだろう。自分を信じられなくなったりするだろう。


そして何度でも自分を見つけていくだろう。

くりかえし。


そしてあっけなく終わるだろう。


大事だと思っていたものを残して。


今だったらわかる。