枕元

 先日、杉浦日向子の本が濃い酒のように刺激的だったので本を閉じたのだが……、


 レイナルド・アレナスの『夜になるまえに』を読み始めたら、これはこれで刺激的であった。キューバ生まれの詩人がアメリカに亡命した記録である。

 「初めに/終わりに」という章から始まるのだが、これはエイズ悪化のため服毒自殺を遂げる作者の、遺書のように読める。幼少の頃から回想が始まる。ホモエピソード満載。けれど、詩人だけあって好奇心もあるけれどそれ以上に読めてしまう。言葉の使い方がうまい。加速して読むには勿体無いような、またしても貧乏たらしいブレーキがかかり、本を閉じた…。


 湊かなえの『告白』があったので、エイズもちょっと触れるし、読み始めてしまった。こちらは加速に任せて読みきった。読みきらないと気持ち悪い。逆に。


 閉じたまま置いてても良い本と、読みきらないとすまない本があるけれど、作者としたらどちらが嬉しいのだろう?

 

 本好きな人は絶対に、枕元に読みかけの本が積んである!


 多分、好きで積んでいる。


 わざと読みきらないで積んでいる。その気分になった時に、おもむろに読むために、貧乏たらしく積んでいる。わかるわかる。貧乏たらしいとは思うけど、そういう人は嫌いではない。


 読みかけの本がたくさんある夜中は、嬉しい。


 たくさんの世界が私の枕元に積まれている。