長くつきあっている友人(女性)の話。
彼女は学生時代は赤とかピンクとか女性らしい色の服を着ていることが多かった。
ベッドカバーやパジャマは勿論ピンクだ。
パー子というわけではない。
でもたまにパー子みたいになっていた。
彼女は女子校の教師をしていたと思ったら事務員になっていて辞めて、カナダに留学してフランス語の勉強をした。帰国したと思ったら、貨物関係の会社に派遣で入り社員になり、ついに社長になった。え、社長?って驚いていたら、「日本支部長ってことなんだけどね」と説明された。友人を集め、彼女の社長就任の祝いをしようと思った当日、昼頃、彼女から電話で「合併!吸収合併!とりあえず閉める!」と連絡が入った。私たちは夕方とりあえず集まった。美味しい食事とワインを飲んだ。彼女は会社を閉める仕事をその日から始めた。
日本語教師の資格をとるための学校に通った。フランス語の勉強も続けていた。アンティークジュエリーの店のバイトを始めた。
アンティークジュエリーのバイトの店に就職してた。いつの間に?と思ったら販売員ではなく会計の仕事をしていた。えー、会計?と思ったら、主任になっていた。
その頃の彼女は、黒い服ばかりだった。
「クローゼット、もう全部黒!」と言っていた。
彼女は童顔で、背が低い。
外国人からみたら子供のように見えるだろう。
そして、上質な黒い服は、彼女によく似合う。
大人っぽくて強い色なのだけど、だからこそ彼女の柔らかさとか女性らしさを惹きたてている。
黒を着る彼女は、大きく見える。
表情が豊かなので、向かい合って話していると、彼女の顔が自分の顔に見えてくる。
よく聞く人というのは、顔をみてるとわかる。
「ふぅん、そうかぁ」「うんうん」「ぁあ!そう!」「へぇー」考えている顔も、笑っている顔も、怒っている顔も、なんだか自分の顔に見えてくる。
江戸時代には垢抜ける、赤抜けるという言葉があった。
四十八茶百鼠。である。
中間色の鼠色、茶色、(青色)でオシャレをするのである。
安くて貧乏くさい地味な色でも、自分は華やかで艶があるから、着こなせるぜぃ!ってことなんだと思います^_^
料理研究家の土井善晴さんも、料理を活かすための器、という話をしていた。
何を着ても似合う人はいる。
着こなせる人もいる。
でも「黒をつい選んでしまう」というのも、わかるようになってきた。
自分を合わせるのではなく、合うものを選んでいるだけなんだね。
最近はベージュや紺も着ています。
主任は、結婚退職しました。
黒は、アンティークジュエリーを惹きたたせる色でもありますね。