予定調和で構わない。

  本の雑誌ダ・ヴィンチ」で高橋留美子特集をしていて、思わずじっくり読んでしまった^_^

  そうそう。私は「うる星やつら」が大好きだった。
  ピンクレディーの流れか?わからないけど、はじめて親にねだったのは「うる星やつら」のカセットテープ(古い、、、)だった。アニメから入ったのか、少年サンデーから入ったのか、それすら定かではない。小学3年か4年か5年だと思う。ひたすら懐かしい。
  子供心に、年頃になったらラムちゃんみたいなナイスバディになって青春を謳歌しようと思っていた。語尾に「だっちゃ」と付けてふざけたり。単純に憧れていた。
  
  京極夏彦高橋留美子のファンなのですって。対談記事がありました。確かに、宇宙人や妖怪や幽霊がたくさん出てきます。京極氏は、友引高校の校長先生が好きだと仰っていた。こたつネコと一緒にこたつに入っている人……。……へえー、と思ったら、どんどん登場人物が思い出され、どんどん読みたくなってしまった。

  サクラさんは巫女で、彼女の叔父の錯乱坊のチェリーは仏道なのですね。サクラさんの許婚のツバメさんはカトリック。ここらへんも、記憶の中でゴチャゴチャになっていた。小学生には同じもののように見えるのですね(あんなに真剣に見てたのにね)

  諸星あたるのライバルの面堂終太郎くんは、金持ちで毎朝パラシュートで登校する。タコを飼っている。妹の了子ちゃんがタコに「お兄様、こんなになって…」と話しかける。暗いよ狭いよ怖いよー!という弱点があったりして。女性に優しくフェミニスト。でもあたると同じくらいアホだったりする。
  面堂の部下はメンインブラックで、了子ちゃんは黒子の付き人なんだよね。

  ラムちゃんに意地悪する幼馴染のランちゃん。ブリッコ。結構性格悪いんだけど、ラムちゃんが健気に仲良くしてるからかなぁ、読者の私もそんなに嫌いにならない。なんだか微笑ましい。

  あたるの両親がまた面白いんですよねー。生活感あって。頻繁に家が壊れてます。父さんがちゃぶ台で読んでいる新聞を真っ二つにバリッと破いたり、母さんが茶碗を取り落としたりする。

  その他にも、机を投げるしのぶとか、男として育てられた本当は女の竜之介とか、その親父とか、温泉マークとか、テンちゃんとか、お雪ちゃんとか、弁天とか、すごくたくさんいろんな人が出て暴れている。

  ………というわけで。
  本腰いれてシッカリ読み返しはじめてるのですが^_^コレが結構幸せ。

  ギャグマンガというのが良い。
  多少(ラムってこんなに可愛いかったっけ)というような、少年向け胸キュンシーンがあったりしますが。ラムちゃんの宇宙グッズがハチャメチャで面白い。ドラえもん級に奇想天外。「ちゅどーん」とか「しくしくしくしく」とか効果音が楽しい。影絵のキツネの手つきで飛んだり、よよよ、という手つきをしたり、前に伏せて倒れたり、すてーん、と滑ったり。ザ・ギャグ。ズィス・イズ・ギャグ。楽しい^_^

  まぁ、コレで育った訳ですから。
  当たり前ですけど私のアホ部分を形成したのは間違いなく「うる星やつら」です。

  でもきっとそれだけではない。
  柔らかい子供の心で楽しく見ているアニメ・マンガは、知らずに影響受けていることがたくさんある。すっかり大人になって、そのアニメやマンガのことは忘れてしまっても、本能的な善悪や美醜など、その人のセンスの形成に深く関わっていることを強く実感する。

 (「ワンピース」で「心意気」について語られるのが私はすごく良いと思った。これを見て育つ子供は、いい大人になるだろうと思った)

   子供のその時期の物語は、予定調和の方がいいと思う。厳しい現実は、もう少し先でもいいと思う。ランちゃんに気兼ねして仲良くしようとするラムちゃんがいい(普通は無理・虚)ラムちゃんを好きでも好きだと言わないあたるがいい(普通は無理・虚)ずっと好きで居続けるラムちゃんがいい(普通は無理・虚)
  「ありえない…」と拒絶するのは、もう少し先。「ありえない…」と自分で気づくことも大事なのではないかと思う。

  ヒーローは倒れない、ヒーローは負けない、ヒーローは幸せになる。
  予定調和の冒険でも一向に構わないのだな、と思った。