「ナチュラル・ウーマン」松浦理英子。河出書房。1994年。
読みやすかったし、かっこいいし、ストレートにわかるし、かつ文学的。何の文句もつけれないと思う。傑作でしょう。
中上健次に褒められたらしい。
かなり完璧面白いと思う。
最近では女性向けの官能小説が流行っているらしいけれど、コレを読んでからにしましょう。
☆
内容でいえば、短編3つ構成。同じ登場人物が3作品に登場する。
女の人が女の人に恋する話です。
3作品通して読むとクラクラする。
「私が好き?」と相手に問い、相手は「好き」と答える。それでスリッパで頬を叩く「嘘つき」と。
また問う「私の事好き?」「好き」「嘘つき」スリッパで頬を叩く。その連続、そして抱擁、…みたいな。
彼女は相手に触れてほしくてドキドキするのだけど、相手を信じてないのです。信じたいけど。そして相手も信じてないのです。
ちっとも恋してない相手に身体を玩具として提供したり、食欲を恥ずかしいもののように扱ったり、それでいて男女のセックスをツマラナイものとして扱う。
バイセクシュアルの花世は「男の垢にまみれている」と自分の性器を触らせない。また主人公の容子の性器にも触らない。池の前にある岩では遊ぶし、池の後ろの沼でも遊ぶけど、池には行かない。
自分たちの遊びを発見して、耽ります。
女だから。男に求められたらするのだけど、ただそれだけ。
真に女だと自覚するのは、ナチュラル・ウーマンがわかるのは、、、、、という風に物語は締めくくられた。
(↑この曲、完全に直球ストレートで、神々しいです。作品の真ん中にコレを据えて作品のタイトルまでしちゃう所が、なんか松浦さん可愛いな、と思います)
恋をするのは身体の方で
愛をするのは心の方
( さりげなく都々逸をキメる^_^)
身体と心がバラバラになっても女は強い。
欲望はエスカレートしてコントロールできず、色々な遊びを共有するけれど、できることは全てやりきってしまう。
「もう貴方とできるのは別れる事だけ」と好きな相手に別れを告げる。
関係を持つというのはスゴイな。
いつも刺激し合うような新鮮な関係は、血を流すように壮絶だ。
今までのものは準恋愛でしたごめんなさい、と謝る。変態趣味というのはいかにも人間らしい個性だなぁ、としみじみする。
嫌われても構わないと、堂々としている。嫌いになってごらんと、挑発する。
怒ってごらんと、挑発する。
いいなぁー。