先週は梨を買いに出かけた。
今年は暑かったので甘い。ただ雨が続いたので少し色が悪く、小さな傷がついている。でも味は良い。
今日はりんごを買いに出かけた。
八月の山口島根集中豪雨で、流されてしまったりんごの木もあるのだけれど、道を隔てたこちらのりんご園は無事であった。
道が崩れて舗装しているところもあるし、川の堤防がまだ崩れたままの部分もある。みんなで片付けてみんなで綺麗にしたのだろう、でも流された人と流されていない人では、決定的な違いがある。
それでもりんごの木が無事なら、りんごがあるから、人は働くし、人は集まる。
「あぁ、ちゃんとりんごを売っている」とすごく安心した。りんごパイもある、りんごジュースもある。
ほぼ一年中、スーパーではりんごが買える。珍しい果物ではないけれど、ここのりんごは本当に美味しい。
売店のおばさんが、小さな紙コップにりんごジュースを注いでくれた。生しぼり100パーセントで、驚くほどに甘いりんごジュース。
「いつも買ってもらっているから」と言われた。
お客の顔を覚えているのかな?
……、でも、案外覚えているものなのかもな。
手塩にかけた自分たちのりんごを「美味しい美味しい」とデレデレしながら選ぶ客。
「うわ!ありがとうございます!」と私は遠慮なく受け取り、くっと飲んだ。濃い甘み。「甘い!甘いですねぇ!ご馳走様です!」とお礼を言った。
おばさんが、嬉しそうに私が紙コップを受け取って、飲んで、お礼を言うのを見ている。
ちょっと哀しそうな笑顔で。
りんご園のおばさんと私には、流されているいない以上に心の距離はあるのだけれど、なんだか無性に(ありがとう)と思った。
「これ、冷やしてたべてね」と、少し小さなりんごをオマケしてくれた。
また何度でも何度でも、りんごを買いに来ようと思う。