困ること、それは思い違い。
困ること、その思い違いをどのように訂正するか、それとも受け流すか、気づかない振りをするか。選択を迫られること。
困ること、それは「ノーテンキに農作業をしたら危ない」と言う人がいること。もしかしてエンテンカ炎天下では?それは長閑ではあるが、危なくはない。
困ること、それは「モランボンのロールケーキ」と言う人がいること。もしかしてワサンボン和三盆では?焼肉のタレだよね、それって。しょっぱそう。
困ること、それは「金のシャチハタ」と言う人がいること。シャチハタはインク付きの印鑑で、名古屋にあるのはシャチホコだ。金のシシャモも違うから。先に言っとくけど。
困ること、それは「レッドパンサー」と言う人がいること。ピンクパンサーかもしれないし、レッサーパンダかもしれない。無茶苦茶言わないでほしい。
困ること、マイケル・ジョーダンとマイケル・ジャクソンとマイク・タイソンとマイケル・ジョンソンがごちゃ混ぜになっている人。スーパースターなのは間違いないけどね、全部別々の人です。スポーツするマイケル・ジャクソンというのが絵的に感動する。
困ること、フィアンセのつもりでファインセと言っている人。……アイム・ファイン・センキュー。
こんなに面白いのに。
無闇に間違いを指摘してはいけない気がする、けれど彼はあちこちで「レッドパンサー」と言うのだろう(どんな話の流れで?)恥ずかしい想いをするかもしれない。逡巡する、何が正義か。
こんな私が指摘してもいいことなのか、こんなに面白いのに。奇跡のように面白いのに。もっと妥当な適任者がいるのではないか?
そして彼が言い続けたら?
訂正するキッカケを何度もやり過ごして、やがて彼は自ら気づき、そして私が知りつつもやり過ごしたことを察したら?まちがいなく裏切りなのだ。何故すぐに教えてくれなかったと責めるかもしれない。
「レッドパンサー」はどこまでも無害で、話題にのぼる確立も低い。
彼が「レッドパンサー」と言うたびに、私は罪悪感を募らせ、そして奇跡がいつまでも続けばいいと願っている
同時に。
彼がそれは「ピンクパンサー」で「レッサーパンダ」であることを、自ら気づくことを望んでいる