「ウィンターゲスト」をみた。

 エマ・トンプソン出演のイギリス映画。彼女の実の母親も女優で、彼女の母親役で出ている。


 もちろん冬。海の近くの田舎町で、記録的な寒さで数十年ぶりに海が凍る。

 老女が二人、少年が二人、女が一人、その息子、その母親、少女が一人、登場する。女は夫を亡くしている。そんな話だ。

 冬の風景がとてもキレイだ。ピアノの練習曲がなる。少年の一人と、老女がそれぞれ唄う。

 女と母親の折り合いみたいなものがメインのストーリーだけど、映像の雰囲気だけで結構みれてしまう。親子のリアリティあふれる会話とか、必要なんだろうか?少年たちだけで十分神秘的で幻想的なのだが…。

 しかし、老いてゆく人々をどうしてもっと魅せる描き方ができないのだろうか?


この映画だけでなく、全般に、 カッコよさを貫いてる老人って頻度が低すぎると思う。

 非現実的な程オマセな少年少女は山ほどストーリーには登場するのに、非現実的にカッコいい老人は出てこない。たいてい家族にすがったり、若者を羨んだり、説教したりしている…。リアリティとかはもういいから…。

 

 若い方がいいに決まっている!

 上手な年のとりかたとか、大人のなんたらとか、年をとったからこそわかる良さ、みたいな触れ込みってよくみるけど。経験をつんだからこそ失敗はしないという老練な技みたいなこともあるかもしれないけど。

 ガムシャラな気迫とか、何回でも失敗してやるというような迂闊な余裕とか、残された可能性の分だけ優位である。体力もある。自由さがある。そして失敗しても恥ずかしくない。若さゆえ、失敗が勲章なのである。


 私は三十代半ばであるが、若い人と知りあうのと同じくらい、年とった人と知りあうのはおもしろいよ。と助言されたことがある。

 確かに。同年代とは違う何かがあるだろう。テレビに代表されるメディアは、若い人の流行ばかり追うが、本当はもっと違う目線があるはずだ。


 映画をみながら、こういうオマセな少年少女が憧れるようなカッコいい老人出せよと、つい思ってしまった。オマセな少年少女は画一的だが、カッコいい老人なんて多様性アリアリだと思う。

 雰囲気があるだけに、保守的なキャラクターが残念である。